2015 e:to:ten 札幌

札幌資料館

用のアートグラス撰 初夏のガラス展

Project展「初夏のガラス・展」開催にあたり

i:to:tenの展覧会は、まさに個性もアプローチも異なるガラス作家たちがこの素材に取り組む熱い思いで結びついて立ち上げたグループ展である。参加メンバーは固定した10人と定めず、ゆるやかに入れ替わったり人数を増やしたりしていて、マンネリに陥らず切磋琢磨しようとする緊張感が感じられる。展示会場も、東京、京都、横浜、札幌と、意欲的に適所を探し出していて、少しでも広く多くの人に見てほしいという思いが伝わってくる。
メンバーはそれぞれがガラスの魅力を追い続け、飽くなき探求を継続してきた作家たちである。一口にガラスと言っても、これほどのバラエティに富むことに驚かされるに違いない。

 溢れんばかりに水をたたえたような大きな鉢は思わず手で触ってみたくなる。 やわらかく光を通す砂糖菓子のような花びらのようなオブジェ。これはガラス? 道化師の化粧の下から覗く孤独な表情はどのように引き出すの? 整然と構成されたストライプやモザイクのような小さな模様はどんな手順で出来上がるのか? 透明なガラスの向こう側に見える複雑な構成物はどうやって中に入れたの? ほんのりと透ける器に咲き誇る花の凹凸やグラデーションはどのように生まれるの? 料紙装飾を施した平安時代の優美な書のように見えるけれど、ガラスに文字は書けるの? 楽園の草花や鳥を思わせる銀色の装飾はどのように描き出されているのか? 幾何学的なシャープな稜線や不規則なとげとげ。ガラスはどうやって彫ることができるの? まるで未来から降りてきたような魚は何を伝えに来たの?

 ガラスは理屈抜きに、きれい、面白い、すごい、と見るものが近づきやすい性質を持っている。しかし、それぞれの作品がどのように生まれたのか、その素朴な疑問を解くことができたなら、認識を新たにし、さらに作品の魅力に深く触れることができるはずである。ここに集う作家たちは、ガラスという素材にのみ宿りうる形の成り立ちや加工の可能性、光との交感を模索し、作品を通して見るものと対話することを期待しているのである。 
 もし会場に詰めている作家に出会えたなら、躊躇せずに尋ねてみてほしい。
どのようにつくったのか、ガラスはどんな素材なのか、と。

水田順子(北海道立近代美術館)

EVENT INFOMATION

開催期間2015.6.16(火)〜2015.6.21(日)
会場札幌市資料館研修室(作品展示)&ミニギャラリー6(販売用)
札幌市資料館指定管理者NTT北海道グループ共同事業体
出品者磯谷 晴弘北島 昌子谷 祥一玉田 恭子中川 晃鍋田 尚男西 悦子広沢葉子吉井 こころ山田 輝雄
企画 制作アートグラス制作集団 / イートーテン

ACCESS

札幌市資料館
〒060-0042 北海道札幌市中央区大通西13丁目   開催時間 / 9:00 – 19:00

MEMORIES